理想の店舗づくりは内装における配色が重要なカギとなります。
というのも、お店の印象は色が与える影響が非常に大きいためで、お客様に来ていただくことを目的とする場合、視覚から与える影響を考慮するうえで大きなポイントとなるのです。
居心地の良い空間を提供するためには、どのようなお店にしたいのかコンセプトに則って計画をする必要がありますが、配色の検討もそのひとつとなります。
今回は岡山市北区の「お顔そりと酵素浴」の新規店舗オープンに向けたリノベーションの実例をご紹介いたします。
色の効果について
色には、白・黒・グレーなどの無彩色と、赤・黄・青の3原色から構成される有彩色に分けることができます。
そして色には見え方など区別するための基準として「色相」」「明度」「彩度」の3つの属性がありますが、どのような色であってもこれらの属性を使って表現することができます。
なお無彩色の属性は「明度」のみとなります。
色相
赤・黄・青など色の種類を表すものです。
色味を判断するための基準として用いられ、「暖色系」「寒色系」「中性色系」に分類することができます。
明度
明るさ、暗さを表す度合いのことで、無彩色においては最も明度が高い色が白、最も低い色が黒となります。
彩度
色の鮮やかさを表す度合のことで、彩度が高いほど澄んだ純色となり、低いほどくすんだ色となります。
また明度と彩度を組み合わせた色の調子を「トーン」と呼びますが、ペールやグレイッシュ、ダークなどいくつかの分類があり、イメージを具体化するために活用されています。
色が人の心理に与える影響は非常に大きく、印象をコントロールすることも可能です。
暖色系は明るく活発な雰囲気をつくり気持ちを高揚させる興奮色で、寒色系はクールで清潔感のある雰囲気をつくり気持ちを落ち着かせる沈静色です。
そして白や暖色系は空間が広く見える膨張色で、黒や寒色系は空間が狭く見える収縮色であることなどが大きな特徴となります。
内装の配色について
居心地の良いお店づくりはバランスのとれた色選びが重要です。
内装の色の配分をバランスよく行うために、「ベースカラー」「アソートカラー」「アクセントカラー」からなる3つの組み合わせで検討を行うことでイメージがまとまりやすくなります。
ベースカラー
ベースカラーとは最も多くの面積を占める部分に対する色のことで、内装における天井や壁、床など、全体の約70%の割合を占めます。
基調色となり内装の方向性を決定する重要な役割があります。
アソートカラー
アソートカラーとはベースカラーに次ぐ面積を占める部分に対する色で、家具やカーテンなど全体の約25%の割合を占めます。
ベースカラーと類似した色を採用すると統一性が生まれ、相違した色を採用すると変化が生まれるため、ニーズや好みによって検討する部分となります。
ベースカラーとアソートカラーのバランスが内装のイメージを大きく左右することになります。
アクセントカラー
最も小さな面積を占める部分に対する色で、クッションや小物など全体の約5%の割合を占めます。
内装における色調とは対照的な色を採用すると、全体を引き締め、また注目を寄せメリハリをつける効果が期待できます。
内装の色に統一感があると全体的に調和のある落ち着いた空間をつくることができることや、ベースカラーとなる天井と壁は明度が高い色を採用すると天井が高く部屋も広く見えることなど、あらゆる組み合わせで室内の印象が変化します。
ベースカラーと比較して、アソートカラーやアクセントカラーの面積は小さいため、後から変更することも容易で、印象をガラッと変えてしまうことも可能です。
お店のコンセプトにマッチした色を効果的に使うことはお客様の満足度にも影響を与えることがあるため、しっかりと検討を行うことは戦略のひとつとして重要であるといえるでしょう
施工事例について
今回は岡山市北区のローサイドに位置する既存の店舗を「お顔そりと酵素浴」のお店にリノベーションを行っています。
コンセプトは落ち着いた寛ぎの空間づくりということで、内装はグレイッシュなダークトーンを基調とし、落ち着いた雰囲気を演出しています。
グレーは穏やかで落ち着いた上品な印象を与え、また他の色とも協調しやすいため調和のある空間づくりに適しています。
床や家具、建具などはブラウン系ですが、天井の明度が高いため全体的に暗くなりすぎず、バランスの取れた配色が実現できました。
お顔そりスペースは壁をダークトーンでまとめ、また間接照明を効果的に配置することで気持ちをリラックスさせるスペースとしてまとまっています。
脱衣所は明るめの色を使用しているため空間を広く見せ、また家具やガウンなどブラウンで合わせることで統一感があり落ち着きます。
また床を上げ、視覚的にじゃまにならない床下収納を設けて狭い空間の有効利用を行っています。
酵素浴室もダークトーンでまとめた内装と間接照明で癒し空間を演出しながらも、メンテナンスを考慮した排水設備の施工を行いました。
また天井に設置してあった既存の空調設備は、コンセプトに合わせて建具枠と同色に塗装しています。
店舗リフォームのまとめ
店舗内装は好みでつくることも重要ですが、お客様の目線でイメージしたコンセプトに則って戦略的に取り組むことがポイントです。
また働く従業員の動線を考慮した設計を行うことも重要で、業務の効率に影響を与える部分となるため事前の打ち合わせが必要となります。
理想のリノベーションを実現するためにも、適切なアドバイスおよび施工が可能な、信頼できる業者にご依頼ください。