家族の介護が必要となったとき、場合によっては安全確保のため介護に適したリフォームを行ったほうがよいケースもあるでしょう。
そんなとき費用を抑えながら便利に利用できるのが「高齢者住宅改修費用助成制度」です。
一定の条件を満たすことで利用することが可能となる制度ですが、今回は広島市東区M様邸でこの制度を使って実際に行われた介護リフォームの事例をご紹介いたします。
高齢者住宅改修費用助成制度の概要について
介護保険の「高齢者住宅改修費用助成制度」は、要支援・要介護と認定されている介護保険の被保険者が生活する住宅でリフォームを行う場合に利用することが可能となります。
リフォーム費用20万円までが対象となり、その9割が助成されるということになるので、最大で18万円を受け取ることができます。
その他には、申請書や見積書、ケアマネージャーによる理由書などを提出することなどが条件となります。
Before|脳梗塞後の生活をサポートしたい
ご主人が脳梗塞によって体に少しの麻痺が残るようになり、本人と家族、そしてケアマネージャーを含めて介護に適したリフォームの検討を行いました。
今回は、おもに手すりを設置することによって、ご主人の日常生活における支えとなることを目的としています。
手すりの役割としては、転倒を防止することや歩行を助けることなどがありますが、とくに階段のような場所で転倒するようなことがあると大きな事故につながるため重点的に検討をする必要があります。
介護を感じさせないリフォームを心掛ける
ご主人や家族の要望である「介護」という雰囲気にだけはしたくないということなどもあり、内装やインテリアの色調に合わせ、手触り感、見た目の柔らかさもある木目手すりを選択しています。
握る位置や高さ、太さも大切な要素
またご主人の日常生活における動線をチェックし、動作に無理が生じることがないよう握る位置や高さ、あるいは太さなど、配慮を重ね入念に決定しました。
After|手すりを設置して、日常生活をサポート
玄関は金属素材の手すりを採用
まず玄関前にはステップがあり、昇降時の補助として手すりを設置しています。
屋外で使用するため金属素材を採用しており、床面と建物の外壁で支持しています。
玄関内上り框部の壁には木製縦手すりを設置しました。
上り框を昇降するとき、あるいは履物を脱ぎ履きするときの動作を補助するために使用します。
そしてとくに危険度の高い階段部では手すりが大いに役立ちます。
手すりの設置は使用する人の体重が加わるため、絶対に外れ落ちることがないようにしなければいけません。
手すりには強度が大切
手すりの設置面に対しあらかじめ下地補強があれば、強度を確保したうえで簡単に取り付けることができますが、ない場合は補強するための準備が必要となります。
方法としていくつか考えられます。
- 一旦壁を剥がして下地補強をして復旧する
- 間柱に対して手すりを固定する
- 間柱に補強板を固定し、補強板に対し手すりを固定する
今回は見た目とコストの両方でバランスのよい③の方法で取り付けをしており、階段の段板や建具枠の色とも調和した仕上げが実現できました。
L型手すりは縦・横のどちらにも対応することができる
トイレにはL型の手すりを採用しています。
L型は縦方向と横方向のどちらの動きにも対応することができるため、トイレでの動作となる立ち座り、および姿勢の保持に便利な形状です。
さらに転倒などの事故が多い浴室は、介護が必要な家庭にとって手すりの設置は必須となります。
浴槽への出入りや、浴槽内および洗い場における姿勢の保持、浴室内の移動補助のために利用します。
これらの手すりを設置したことによって、ご主人も日常の歩行の不安も解消されることで活動的になり、またその様子を見て家族も安心するなど、非常に価値の高いリフォームとなりました。
介護が必要となった人にとっては自宅であっても危険な場所が多く存在します。
そのような危険から守るために有効となるものが手すりです。
とくに危険とされる階段部では、介護が必要な人や高齢者でなくても転倒するリスクはあるため、ない場合は安全のためにも設置することをおすすめいたします。
介護のためにリフォームをする必要がある場合は、介護保険の「高齢者住宅改修費用助成制度」の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
取材協力:
イワタニ山陽株式会社
広島市安芸区中野1丁目7番2号
TEL:082-893-3055/FAX:082-893-0943